病気の解説

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小児中耳炎、鼻副鼻腔びふくびくう

 保育園・幼稚園に通いだしたら、黄色や緑の鼻みずがでて治らない。薬をもらっていったん治っても、すぐに再発・・・。夜間急に耳を痛がって、受診すると急性中耳炎といわれた・・・。
 このようなお子さんは最近増加傾向です。近年の耐性菌の増加によって治りにくく、繰り返すお子さんも増えています。
 大抵のお子さんは小学校に入るころには中耳炎・鼻副鼻腔びふくびくう炎を繰り返すことはなくなります。しかし、4歳ごろまでに急性中耳炎を繰り返すと乳突洞・乳突蜂巣(耳周囲の骨)の発達が悪くなり、将来的に悪い影響が残る可能性があります。ほうっておくわけにはいきません。
 当院では抗菌薬(抗生物質)を使用し、鼻汁吸引、ネブライザー、鼓膜切開や鼓膜チューブなどの処置を組み合わせて治療を行っています。
 お子さんが夜、ぐっすり眠れるように、そして将来聞こえに影響が出ないように治療しています。また、通院による親御さんの負担をできるだけ少なくするように心がけています。

耳垢栓塞

 小さいお子さんを持つお母さんの中には、たまにお子さんの耳の中を見ると、耳あかぎっしり、でも自分では取れない、そういう方も多いのではないでしょうか。また、ご高齢のかたで、もう何年も耳掃除してない・・・という方も。
 耳あかはあえてとらなくても、外耳道の奥から外へと出てしまうことがほとんどです。でも耳あかの性質や、外耳道の炎症によって固くつまってしまうこともあります。
 当院では顕微鏡で見ながら(患者さんもモニター画面で見ることができます!)、専用の器具や薬剤を使って耳あかを除去します。
 遠慮はいりませんので、「耳あかとって!」と言ってください。

頸部腫瘍、甲状腺腫瘍

 「くびにしこりがある!」 患者さんの数はそう多くないですが、頸部けいぶの腫れは重大な疾患の可能性があります。
 頸部けいぶのしこりには、良性腫瘍、がん、リンパ節、炎症、膿瘍のうよう・・・と様々な可能性があります。また、腫瘍の中にも良性・悪性ともに何種類もの疾患があります。様子を見るだけで良いものから、すぐ治療が必要な疾患もあります。もちろん早めの診断が良いのは言うまでもありません。
 当院では、エコーやファイバースコープ、細胞診、組織生検、甲状腺機能採血などの検査を組み合わせ、できる限り迅速に診断します。CTやMRIが必要なときは、近隣の和歌山ろうさい病院などで速やかに撮影していただけるよう連携しています。

※当院で行っている針細胞診検査

甲状腺腫瘍やくびのリンパ節に細い針(肘の注射と同じ太さです)を腫瘍に刺し、細胞を採取します。これを針細胞診といいます。当院では診断精度向上のため、エコーで病変を確認しながら検査針を穿刺しています

アレルギー性鼻炎

 春になると鼻はズルズル、目はショボショボ。勉強や仕事で自分が出せない人は多いのではないでしょうか。アレルギーの原因である抗原(アレルゲン)によっては夏や、秋も、また年中症状が出る場合もあります。
 アレルギーの薬は現在、内服・点鼻ともたくさんの種類が出ています。患者さんの症状に合わせ、また、副作用が出ないよう、一人一人患者さんと相談して処方を決めています。難治性の方にはスギ舌下免疫療法、鼻粘膜焼灼術による鼻閉手術も行っています。
 抗原(アレルゲン)を特定する検査は採血や指先採血で行っています。ご相談ください。

当院で行っている抗原(アレルゲン)検査

・View39
採血検査により39種類のアレルゲンを調べることができます。
非特異的IgE、好酸球などの項目も同時に測定します。
結果がでるまで5~7日ほどかかります。

吸入系その他のアレルゲン 食物系アレルゲン
室内塵 ヤケヒョウヒダニ
ハウスダスト
卵白
オボムコイド
動物 ネコ皮屑
イヌ皮屑
牛乳 ミルク
昆虫
ゴキブリ
小麦 小麦
樹木 スギ、ヒノキ、ハンノキ(属)
シラカンバ(属)
豆・穀・
種実類
ピーナッツ、大豆
ソバ、ゴマ、米
草本類 カモガヤ、オオアワガエリ
ブタクサ、オオアワガエリ
甲殻類 エビ
カニ
空中真菌 アルテルナリア(ススカビ)
アスペルギルス(コウジカビ)
果物 キウイ、リンゴ
バナナ
真菌
その他
カンジダ、マラセチア(属)
ラテックス
魚・肉類 マグロ、サケ、サバ
牛肉、鶏肉、豚肉

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:通称SAS(サス))は睡眠中に10秒以上の呼吸停止が一定以上ある状態です。
中年以降、体重が増加した男性がなりやすい傾向がありますが、首が短い、下あごが小さいなどの体形によってもかかることがあります。
睡眠中に酸素不足となるため、昼間の仕事中や運転中の居眠りの原因になったり、将来的には高血圧、心不全、不整脈、心筋梗塞などのリスクが高まることが分かっています。
当院では睡眠時無呼吸検査と、CPAP(持続的陽圧呼吸)治療を行っています。
検査、治療とも保険適応となっています。

睡眠時無呼吸検査(携帯用装置による簡易検査)

検査装置を貸し出し、自宅で検査します。
寝る前に装置を付けていただき、睡眠中に無呼吸の状態を計測します。
無呼吸低呼吸指数(1時間当たり無呼吸・低呼吸が何回起きているか)を計算します。
結果に基づいて、CPAP治療など治療法について説明させていただきます。

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:通称シーパップ)治療

日本語で持続陽圧呼吸療法といいます。
卓上サイズのCPAP装置を貸し出し、自宅においてもらいます。鼻マスクから弱い気圧を送ることで気道を開き、無呼吸を軽減させます。
定期的に受診していただき、無呼吸低呼吸指数などが改善しているかチェックします。

突発性難聴

突発性難聴は原因不明で、急に左右片方の(まれに両側)の聞こえが悪くなる病気です。耳鳴りやめまいが伴うこともあります。
直前まで普通に聞こえていたにも関わらず、前兆なく起こります。高度難聴では明らかに聞こえにくくなりますが、軽度難聴では気圧が変わって(飛行機や高層ビルのエレベーター、トンネルなど)耳がふさがったかのような感じになる人もいます。
いずれにしても、早期の治療開始が重要で、遅れてしまうと難聴が後遺症として残る可能性が高くなります。主にステロイド薬の点滴、あるいは内服の治療を行います。

メニエル病

メニエル病は激しい回転性めまいが10分から数時間ほど続き、繰り返す病気です。典型的には左右片方の(まれに両側の)難聴・耳鳴・耳閉感の症状が同時期に起こります。
めまいの頻度は人によってさまざまで、毎週めまいがおこる方から、10年以上めまいのない方もいます。
ストレスや睡眠不足、疲労が引き金になりめまい発作を起こすことが多く、気圧変化(天気が悪い)で悪化する、几帳面性格の方に多いなどの特徴があります。
当院では聴力検査、平衡機能検査などで診断します。健診で聴力に異常なしとされた方でも低音部の難聴が見逃されていることがあります。場合により脳のCT、MRI(近隣の和歌山ろうさい病院などで撮影していただきます)で鑑別診断を行います。
治療は主に内服、点滴などの内科的治療ですが、重症の方は内リンパ嚢開放術といった手術治療があり、高次病院と連携させていただきます。
近年、内科治療と手術治療との間に位置する、「中耳加圧療法」がおこなわれるようになり、当院でも中耳加圧療法を採用しています。

 

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は突然、顔の半分の表情筋が動かなくなる病気です。
眉毛が上がらない、まぶたが完全に閉じない、口がゆがむ、口から水がこぼれる、ほほを膨らまそうとすると空気が漏れるなどの症状がでます。
ヘルペスウイルスが原因の場合、典型的には耳の痛み、水疱の症状がでます。
めまい、難聴、味覚障害といった症状が出る場合もあります。
1分1秒を争うわけではないですが、できる限り早期の治療が重要ですのですぐに受診してください。各種検査で診断し、場合により脳のCT、MRI(近隣の和歌山ろうさい病院などで撮影していただきます)で鑑別診断を行います。
治療は主にステロイド薬の内服、あるいは点滴治療を行います。場合により抗ウイルス薬を使用します。重症で改善が悪い場合、顔面神経減荷術といった手術治療があり、高次病院と連携させていただきます。